限界
経済成長が絶対的命題だった半世紀前、成長の限界が当時のコンピューター解析で結論付けられていた、という事実を偶然見ていたBS放送で知りました。対談で語られるその内容は、「人口、工業化、汚染、食料生産、資源消費などで現在(1970年代)のような傾向が不変のまま続けば、今後100年のうちに地球上での成長は限界に達するであろう」というものです。
続けて、「その結果、最も起こる見込みの高い結末は、人口と工業力の突然の制御不可能な減退であろう」と予測していました。
それは私達が今、世界規模の新型コロナウイルス感染という “突然の制御不能” に陥るきっかけが招く、経済成長の限界に立ち会っているのかもしれません。人類が資源を消費し汚染物質を排出する速度は、多くの局面で持続可能に必要な速度を超えてしまっているのです。そしてロシアのウクライナ侵略による小麦、トウモロコシ等の原材料・飼料不足は、物価高騰ひいては数億人規模の飢餓を引き起こし、核兵器を所持する一部の大国をはじめ新興国がレアメタルや天然ガス、化石燃料といった資源の利権独占を強引に正当化しようと躍起になっています。先の大戦時を思わせるファシズムの下では正常に循環する経済は望めず、もはや資本主義経済だけでなく自由民主主義の限界すら語られ始めています。
限界を超えて行き過ぎた現状から、人類は引き返す事ができるのか。いや、こんな時こそ私達は「限界は乗り越えられる」という希望を先に持つ事が大事ではないでしょうか? この号が皆様のお手元に届く頃、日本では参議院選挙が公示されます。勇気ある有識者が選ばれ、良識の府として国内外の政治に貢献していただきたいものです。一日も早い平和的な決着と経済成長への道筋を立て、その意志が私達の子から子へとバトンが受け継がれる事を祈るばかりです。
今日までの50年と今日からの50年。宇宙的にはブラックホールによる消失からホワイトホールによる誕生に至る、ほんの一瞬にすら到底満たない時間ですが、人類にとって実りある半世紀になることを期待します。
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