輸入小麦売渡価格、引き上げ回避へ
外国産小麦は国家貿易制度に則り、日本政府は商社を通じてアメリカ、カナダ、オーストラリアなどから輸入しています。現状、国内消費の90%を輸入小麦が占めており、異常気象による減産や世界レベルでの消費量増加等による食糧危機は常に課題でした。
加えて直近のロシア・ウクライナ情勢が供給難に拍車をかけています。小麦輸出量の世界全体約3割を占める両国の輸出規制、そして新型コロナによる人材・流通・燃料等さまざまなコスト増の補填のため、製品価格の値上がりが続いています。
総務省が8月19日に発表した7月分の消費者物価指数(生鮮食品含む総合)は、前年同期比で2.6%上昇。9月以降新たに約8千品種、年内累計で2万品目以上の値上げとの調査データもあり、家計への負担増は目に余るものがあります。
毎月、膨大な品目の食料品が値上げされるのに、消費者の収入は上がる気配すらありません。しかし「国民の消費動向は安定、やや上向きともいえる」などと国民感情を逆撫でするような政府発表には情けなく思います。
そんな事態を理解したのか、政府は14年ぶりとなる輸入小麦売渡価格の引き上げ回避との方針を打ち出しました。「当面、価格は据え置く」という政策です。現在の算定方式となった2007年以降では2番目の高値水準となった今年4月の17.3%引き上げの再来は免れましたが、その後の具体策は見えていません。外国為替市場での急激な円安も追い打ちをかけています。
政府のヒアリングに対して、山崎製パンの飯島延浩社長は「(小麦価格が20%程度の値上げとなった場合)価格改定もやむなし」と訴え、引き上げ回避策の決め手となりました。製パンならびに製粉・油脂はじめ原料メーカーにとって朗報ではありますが予断を許さない状況に変わりはありません。
統一教会問題等、数々の問題で揺れる中での船出となった第2次岸田内閣の舵取りに期待が寄せられます。
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