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コラム 三寒四温

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鳥インフルに思う

第28回となる2023モバックショウは大盛況でした。新型コロナ感染拡大防止のため関係者・参加者ともにマスク着用必須でしたが、モンディアル・デュ・パンの会場内ではフランスから来日したアンバサドゥール協会関係者の大半がノーマスクで驚かされました。

欧米はすでにマスク着用は自己判断に委ねられています。日本も3月13日から自己判断に変わり、続いて5月の連休明けには感染症法上の位置付けが2類からインフルエンザ並みの5類へと変わるなど収束に向けた枠組みにシフトしています。最初の非常事態宣言から3年余り、長かったですね。とはいえ油断は大敵、後期高齢者の私を含めて疾患を持つ人は引き続き健康第一で用心して過ごしましょう。手厚い行政の援助も引き続きお願いしたいです。

そもそも新型コロナとの比較で軽視されがちですが、インフルエンザの脅威も看過できず、世界的に鳥インフルエンザが大流行しています。日本でも感染拡大防止のために殺処分数が過去最多となり鶏肉や鶏卵の高止まりが続いており、スーパーの棚は通常の倍前後の価格でも空っぽという事態もみられ、一般家庭や学校給食、製パン製菓業界まで影響は及んでいます。

私の行きつけの創作フレンチレストランでは、季節の卵料理「トリュフ茶碗蒸し」が豆腐を代替して供されました。怪我の功名か、卵に劣らず美味で感心しました。材料コスト上昇はもちろん、吟味して選んだ産地や生産者からの確保が困難になっているかもしれません。しかし、サーブしてくれたウエーターの説明では、あくまでも卵の高騰対策ではなく「シェフのアイデアによるもの」とのこと。ネガティブな時世を感じさせずさりげなく食材を変えるセンスは一流の証ですね。

殺処分といえば、生乳需要減等を理由に乳牛の殺処分が始まっています。生産余剰による市場価格下落を回避し、需給ギャップを改善する名目で早期リタイアさせて(殺処分)、酪農家に補助金を交付する。同様の対策がとられた2014年時には、次年度から牛乳生産が追いつかずにチーズやバターが不足しました。子牛を買い、生乳がとれるまで約2年かかることを考えれば明らかな悪手ではないでしょうか。なお今回は酪農家への補償として補正予算50億円が組まれたとのこと。苦肉の策であれ、歴史は繰り返します。

2~3年で責任あるキャリア官僚が異動を繰り返します。担当大臣もしかり、重要案件を決定する上で、場当たりではない長期的視点で法案を取りまとめることが賢明であると思います。

モバックショウ

幕張メッセにて開催されていた2023モバックショウ(日本製菓製パン機械工業会主催、増田文治理事長)が4日間の日程を終えて、3月3日に盛況裡に閉幕しました。

私はモバックショウを訪れたのは実に約10年ぶりです。その間、10回にも及ぶ全身麻酔による大手術が続いて遠出の外出がままならずにいました。今回満を持して最終日の金曜日に久々に行くことができました。

当日はベスト・オブモンディアルの最終審査と順位発表を控え、会場は熱気に溢れかえっていましたね。まずは理事長を務めるマスダックマシナリーの増田会長にお会いするべく同社ブースへ行くと、大勢の来場者が最新機材の説明に耳を傾け、商談ブースはほぼ満員。国内はもとよりアジア、欧米など世界各国のバイヤーが、マスダック製品の利点を質問し熱心にメモを取る姿が印象的でした。

愛工舎製作所の実演ブースでは、メゾンカイザーの木村周一郎シェフの技術を見ようとたくさんのギャラリーが集まり、使用するミキサーや自然発酵種発酵機「ルバン」などを、営業本部次長兼営業開発室長の牛窪香江さん率いるスタッフが丁寧な説明でフォローします。人と機械の織りなす技術の競演、これぞモバックの醍醐味です。

会場では懐かしい面々にお会いできました。AAKミヨシジャパンの三木勝喜社長はじめ大勢の友人との再会で、コロナ禍で止まっていた時間が再び動き出した気がします。デイジイの倉田博和シェフはコバード、コトブキで実演セミナーを行っていましたが、さすがは日本のベーカリー業界を牽引する大物シェフ、貫禄が半端ないです。見学している皆さん、ウィットに富んだ倉田シェフのトークに引き込まれていました。

ベスト・オブ・モンディアルの会場では、フランスMOFのムニエさんと久しぶりの再会。レ・アンバサドゥール・デュ・パン・デュ・ジャポンの副会長の安倍竜三シェフ(パリゴ)の流暢なフランス語の通訳で旧交を温められました。安倍シェフはフランスのリヨンで開催されたモンディアル本選の第3・4回大会に連続出場した実績を以て日本代表チームのコーチに就任、2019年大会(大澤秀一シェフ/コム・ン)、2021年大会(谷口佳典シェフ/フリアンド)と連覇に導きました。勝負所を熟知したスターブーランジェが、今回は実行委員長として大会を盛り上げる裏方に徹していた姿も立派でした。

結果は、5ヵ国が出場した第3回は大澤選手チームが優勝、続く第4回大会では谷口選手チームが2位を獲得と素晴らしい結果となりました。両シェフはじめ参加スタッフの皆さんの健闘を称えます。

ストック

私は20年ほど前に株式投資を始めました。その訳は、さらに遡ること約40年前に体験したハワイへの船旅がきっかけです。

ノルウェー船籍の豪華客船にはプール、劇場、映画館、ナイトクラブ、カジノに教会まで揃う夢のような10日間でした。乗客はほとんどが欧米人で日本人は私だけ。毎日デッキでジョギングしてプールで泳ぎ、サウナで汗を流すのが日課になりました。

サウナでアメリカ出身の老紳士と仲良くなり、彼に職業を尋ねると、

「ストック(株取引)だよ」

との事。言われてみれば船内で見かける三十代は私くらいで、みな人生の成功者といった品のある方ばかりでした。しかし私は悠々自適のリタイア後ではなく、若いうちになんでも挑戦してみようというポリシーであり、この時の出会いも後々の財産となった訳です。

楽しい10日間はあっという間に過ぎて、ハワイオアフ島のアロハタワーの埠頭に到着、迎えに来てくれた友人の車でヒルトンホテルへ。不思議だったのが、チェックインして館内を歩いていると、体が揺れているんです。船内の揺れを脳が記憶して、体が勝手に反応しているんですね。船旅ゆえゆっくりと日付変更線を通過するので時差ボケはありませんが、揺れは5日間ほど続きました。

船旅から20年ほど経たある日、ふと閃くように「ストック」という老紳士の言葉を思い出しました。証券会社に口座を開設し、さしあたっては身近な製パン関連企業の株式を取得。およそ3年で株価は上昇、思わぬ不労所得となりました。

平成から令和と移ろう中、何度となく相場が大きく上下し、直近ではロシアのウクライナ侵攻でも市場は影響を受けました。今回ばかりは私も世界的な経済成長の終焉か? と戸惑いを感じましたが、慌てず騒がず、売買ぜずで市況もあえて見ずに生活しています。とはいえニュースで多少は見聞きしますし、証券会社の担当者がこまめに連絡してくれるので把握はできています。

証券アナリストの皆さんは効率的なリターンありきで “投資とは……” とめいめい持論をうったえますが、何より自分の信じた会社を応援する気持ちで持ち続ける事が大切だと私は思うのです。

若い頃の経験は思わぬ結果へと導きます。あの時のサウナの老紳士が私の脳裏に「ストック」という言葉を残してくれたこと、人生100年時代の一助となる選択肢を与えてくれたことに感謝です。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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