月光仮面
長く続いたコロナ禍ですが、世界的規模でかつての日常生活へとシフトしています。日本もマスク着用が個人の判断に委ねられるようになって2ヵ月あまり、私も散歩の道中で往来が少なければ外しています。
とはいえ、まだマスクがない事への違和感や周囲の目に対する後ろめたさや、本来の “素” の自分をさらけ出すにはまだ少し抵抗感もあったりと、習慣とは不思議なものです。なお一緒に付き合ってくれる家内は今でも外出時はマスクを外しません。
マスクといえば、コロナ禍にあって昭和レトロが何度目かのブームを迎えていたようです。私にとって「マスク」「昭和レトロ」というキーワードで思い浮かぶのは月光仮面ですね。
自転車の荷台に道具一式を括り付けてやってくる紙芝居を駄菓子片手に楽しむのが少年時代の楽しみで、特に月光仮面は人気でした。白いマスクにターバン、サングラス姿でマントを翻し、疾風のようにバイクで現れて悪者たちを成敗する正義の味方に魅了されました。リアルタイム世代にとっては巣ごもり生活が人生を振り返るひとときとなったゆえのブームとのことです。
時を経た令和の時代、正義というものがいささか複雑になっているようですね。私としては、「正義の味方は力のバランスをとる者」と解釈します。
それは、「もし社会的に虐げられている “無敵の人” が暴走して周囲の人々を傷つけていたら? 弱きを助け巨悪を倒すのが正義ではなく、もはや逆上した弱者を食い止めるのが正義である」という理屈です。
悪者の姿がますます見えにくくなっている中で、正義の味方も単純明快とはいかないようです。街に出没する無敵の人に限らず、世界規模でも逆上したリーダーの悪行に翻弄されています。戦争や紛争、それに伴う理不尽な略奪と暴力に対して国連や民主主義国家間の中だけで発せられる批判決議だけでなく、実行力を伴う正義を行使する事も必要と考えます。
アリストテレスが論じた「正義には罪と罰の均等のような矯正的な正義と、能力や功績によって財貨を受け取る配分的な正義の2種類がある」。罪と罰のバランスは仕事と報酬のバランスという意味でしょうか。もはや過剰な力で制する者は正義の味方とは言えませんね。
本当のヒーローはいつ現れるのでしょうか?
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