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コラム 三寒四温

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呼ばれる人

(先週号に引き続きバックパッカーとして世界を巡っていた時の話です)

バックパッカーの旅を終えてインドから帰国後、私と近い時期に誰もが知る著名人たちがインドを訪れていた事を知りました。その1人は、小説家の三島由紀夫さん。彼は取材でタイ・インドを訪れ、カシミールのダル湖のボートハウスで絶筆となった「豊饒の海」の一部を執筆しています。

もう一組の著名人は、あのビートルズです。熱狂的な人気絶頂のさなかにインド北部のリシケシュを訪れ、音楽的な影響はもちろんヨガや瞑想などさまざまなインド文化を吸収してバンド活動を再開しました。それまでのアイドル的な風貌から長髪とヒゲに様変わりし、シタールなどインド楽器を多用した楽曲で新境地を開拓しました。インドの神秘性に魅了された三島さんやビートルズは、この地でどんな啓示を授かったのでしょうか。

ちなみに私はサフランとカシミア、手刺繍のカラフルな布しか得られませんでした。

日本帰国前日、放浪の締めくくりは豪勢にとインド最高級のホテル、ラージパレスに一泊しました。しかし赤絨毯が敷かれたエントランスでターバンを巻いたホテルマンに止められました。たしかに短パンにリュックを背負い髪はボサボサという出で立ちではやむを得ませんね。

そこで私はすかさず日本国のパスポートを見せつつ、お約束のセブンスターを一箱プレゼント。険しい表情の番人はとたんに長年の友人のような笑顔で通してくれました。

チェックインを済ませ案内された部屋はガーデンビューで、金色に装飾されたキングサイズのベッドが存在感を放っていました。さっそく3週間ぶりの風呂に浸かって極楽気分。体を洗いバスタブの湯を抜くと、真っ黒な垢が溜まっていました(これが翌日濡れタオルで拭ってもまったく落ちず、お詫び代わりに5ドルのチップをベッドに置きました)

ディナーはマハラジャカレーのフルコース。極上のスパイシーなカレーでいただくナンは生涯忘れえぬ美味でした。

私がカシミールを訪問して以降、インドとイスラム過激派および中国により紛争が絶えず、現在は訪問する事ができません。良き時代にカシミールを訪れた事を、三島由紀夫さんが遺した言葉とともに思い出されます。

「インドは行こうと思っても行けない。
 呼ばれる人だけが行く事ができるのだ」

カシミールの思い出

昭和22年に弊社を創業した父は、海外研修旅行を精力的に行っていました。ひとえに日本の製パン・製菓業界の発展、技術向上を願う思いは私が引き継ぎ、毎年開催しています。当然ながら国際見本市やフランス、ドイツ、米国での各種展示会の日程に合わせた催行になりますが、展示会見学に偏った旅程に疑問を感じていたりもしました。

私は父が亡くなる以前に諍いを起こし、勘当されていた時期があります。会社はもちろん日本すら窮屈に感じて、5~6年ほどバックパッカーで世界を巡りました。発展途上国をメインに気ままな旅を続ける中、特にインド北部のカシミールが思い出深い地です。何気なく辿り着いたダル湖では停泊するボートハウスに一週間ほど滞在しました。以前のインドは英国領で、ダル湖は貴族たちが集う格好の避暑地でした。その名残りで現在も湖畔には人気のボートハウスが点在します。

湖面はいつも穏やかで、鳥のさえずりも聞こえない、不思議な静寂さがあります。ある日、ボートハウスの舳先から水面をぼーっと眺めていると、シカラという小さな木製の手漕ぎボートが近づいてきました。一人の老人がオールでゆっくりと漕ぎながら私を見上げて “こっちに降りてこい” と無言で手招きします。

私はボートハウスに横付けしたシカラに乗り移ると、老人は小さなお椀に湖の水を少し入れ、積んでいた荷袋に入っていた赤色の細かい何かをひとつまみ取り出し、お椀に入れて指でかき回します。すると、見事な黄金色でお椀の水が輝きを放ちました。ヒンズー語が分からないのですが、私はとっさに赤い物の正体がサフランだと理解しました。指で丸をつくってハウマッチ? と尋ねますが、老人は首を傾げるばかり。そこで日本の千円札一枚とタバコのセブンスターを1箱渡すと、ニッコリ笑顔で商談成立。ビニール袋に入ったこぶし大ほどのサフランをゲットしました。

帰国後、行きつけのフレンチレストランでシェフに見せたところ、
「菅田さん、これは上物のサフランですよ!」
と目を丸くしています。
「えっ? 価値はどれくらいなの?」
と思わず確認すると、
「10万円はするでしょう」。
こんなエピソードがインドではいくつもありました。

カシミールといえば毛織物、豪華な手刺繍のベッドカバーやテーブルクロスなどが有名ですね。旅先で購入したカシミアのセーターやマフラーは今でも宝物です。
(次回もバックパッカー時代の思い出を続けます。おいしいナンの話もあります)

海外研修旅行

平成5年(1993年)に父が昇天して、30年が経ちました。父が1947年に創業した弊社は来年2024年に私ともども喜寿を迎えます。父亡き後、いきなり会社を継いではや30年間、様々な思い出が蘇ります。

社長就任後、まずは父の意思に応えるべく創業50周年記念式典を開催しました。帝国ホテルに関連業界の方々約400名をお招きして、父の思いを継承するごあいさつができました。

この式典、実は偶然の発見がきっかけでした。葬儀から半年後、父の机の袖口にある鍵付きの引き出しの中から式典の招待リストが発見されたのです。これは実現しなければと開催に至りました。

そしてもう一つの発見が、弊社海外研修旅行の記録と、催行が叶わなかった翌年の旅程案です。研修旅行の思い出といえば、入社5年後の1975年に実施したアメリカ研修が印象深く記憶に残っています。今では考えられない90名の大所帯で、シアトル経由ニューヨーク、ワシントンDC、シカゴ、ロサンゼルスを10泊12日の強行日程で巡りました。

団長を務めた第一屋製パンの細貝義男社長(当時)のお世話係兼荷物持ち兼記者として私も同行。シアトルでのトランジットではVIPルームを借りて、機内手荷物で持ち込んだ携帯用の麻雀セットにてニューヨーク便の搭乗締切ギリギリまで卓を囲んだものです。

細貝社長は麻雀が大好きで、研修日程中は毎晩楽しんでおられました。同行された奥様は日本から持参したお茶や研修先のスーパーで購入された果物などを皆様にふるまわれていました。

ニューヨーク滞在では超一流ホテル、ウォルドルフ・アストリアにチェックインしたのですが、私と2人の添乗員は初日からてんてこ舞の忙しさ。各部屋にミネラルウォーターを配りながら巡回し、風呂の湯加減にはじまり、エアコンやテレビの操作方法や国際電話の掛け方等々、あらゆる質問や要望に応え続けました。忙殺とはこの事かと実感したものです。もちろん細貝団長のお部屋には夜の麻雀に備えて食事の手配から片付けまで抜かりなく、今では良い思い出であります。
 
30年前の記憶は、自身からの “またやろうよ” というメッセージなのかもしれません。2024年の弊社は節目の喜寿ということで、海外研修旅行の再開を目指しあれこれプランを検討しています。

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冬将軍到来・その2

昨年11月に行ったハワイでのリハビリ旅行は、体調不良にて人生初の救急車搬送をまさかの海外にて体験しました。よって今年のハワイはリベンジでもあったのですが、おかげさまでアクシデントなしで無事帰国できました。

当初の旅行日程は3週間滞在で最初の2週間はアラモアナヨットハーバー前の常宿・プリンスホテル、残り1週間はコオリナのフォーシーズンズホテルの予定でしたが、やはりというかさすがに3週間は長かったですね。10泊の時点で家内と相談の上、コオリナはキャンセルしようという事になり、1週間前倒しで帰国しました。

ホテルコンシェルジュにANAのチケット変更を頼んだところ、日程はOKでしたが成田着のみとのことで致し方ありません。滞在中の移動用レンタカーの返却手続きにはじまり、国際電話で送迎タクシーの予約変更や旅行保険の1週間分払い戻し等々もスムーズに済ませました。

帰国翌日、自宅周辺の散歩から戻ってマンションのエレベーターに乗った時、無意識にホテル宿泊階だった “28” のボタンを探していることに気付きました(我が家は25階建ての14階です!)。2週間の滞在でも習慣付けはあるようで、何日かはこのクセが抜けずに笑ってしまいました。

そういえば似たような経験がかつてありました。45年ほど前、ノルウェー船籍の豪華客船「ロイヤルバイキングスカイ」で横浜港からハワイ・ホノルル港へ10日間の船旅に出た時の話です。時差は毎日1~2時間ほどでホノルル到着時に寝不足ということもなく快適な船旅となりましたが、到着から3日間ほど宿泊先のホテルでよろけていました。三半規管が船内の揺れを記憶しているので平衡感覚が狂うみたいです。これもまた28階のボタンを探すのと同じような無意識の体験だったなあと、若き日の記憶が蘇りました。毎日3食プラス夜食付きでキャバレーショーや映画館、サウナにプール、海面めがけてスイングするゴルフの打ちっ放し、クレー射撃に教会までそろった、それはそれは楽しい船旅でした。

私も弊社も、来年2024年は喜寿を迎えます。まだ元気なようでしたら、今度はハワイ出発の船旅を視野に入れています。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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