落とした〝気〟
先月、石巻へ炊き出しと支援物資を持ってお手伝いに行った際に、松島と塩釜に住む家内の親戚がその会場へやって来ました。松島の親戚の家屋は、さほどのダメージがなく、屋根瓦が落ちた程度で、津波の被害もなく「エガッタ、エガッタ」と家内はおじさん、おばさん、いとこの娘と抱き合って無事を喜んでいましたが、塩釜でサンマ漁で生計を立てているいとこの家は津波に流されてしまいました。今は石巻のおじさんの家で瓦礫や泥の撤去などを手伝っての居候生活で、毎日ボロボロになりながら秋のサンマ漁を考えているらしいのですが、商売道具の船も流されてしまいました。やっと見つけた、泥の田んぼに異様に横たわっていたサンマ船はもう使い物にならないとか。「気、落とさないでくださいね」と私が声をかけると、「気、落とすなって言われてもオラ、気、落としちゃったよ」としんみりと、道路の段差に腰かけてうなだれ、私が連れて行った愛犬の頭をそっと撫でていました。
帰京後、来月には彼を元気付けに東京へ呼ぼうと家内と相談しました。「フレンチとイタリアン、中国料理はどうかな」「寿司もいいわね、でも、そんなものよりまずはあなたの好きな立ち飲みって、よくない?」「そうか!ネギのたっぷりかかった厚揚げ煮込み、缶詰の立ち飲みもいいんじゃない」「それって退院前のおかゆ的発想ですか?(笑)」「いきなりフレンチじゃあ、お腹がビックリするよね」
翌日、東京への招待の電話を家内がすると、電話の向こうから弾んだ明るい声が帰って来たそうです。「近いうちに新潟へ行って中古の船を見に行くっちゃ。それ買ったら、秋にまたサンマ送るっちゃ。そのついでに東京に行くね」。落とした〝気〟早速、拾ったみたいですね。来月の立ち飲み、とても楽しみです。
帰京後、来月には彼を元気付けに東京へ呼ぼうと家内と相談しました。「フレンチとイタリアン、中国料理はどうかな」「寿司もいいわね、でも、そんなものよりまずはあなたの好きな立ち飲みって、よくない?」「そうか!ネギのたっぷりかかった厚揚げ煮込み、缶詰の立ち飲みもいいんじゃない」「それって退院前のおかゆ的発想ですか?(笑)」「いきなりフレンチじゃあ、お腹がビックリするよね」
翌日、東京への招待の電話を家内がすると、電話の向こうから弾んだ明るい声が帰って来たそうです。「近いうちに新潟へ行って中古の船を見に行くっちゃ。それ買ったら、秋にまたサンマ送るっちゃ。そのついでに東京に行くね」。落とした〝気〟早速、拾ったみたいですね。来月の立ち飲み、とても楽しみです。