送電塔
階段を昇った脇にある書斎のドアを開け放つと、大きなガラス窓の先に映る東電の送電塔が、まるで一服の絵が描かれているかのようにピタッとはまります。3段ある送電線の下側に、白い雲が夕暮れ色に染まりながら左右に細く伸びていました。思わず席を立ち、背伸びをして左に目線を移すと、茜色の夕焼けがどんよりとした空を少しだけ染めています。送電線の頭の上に小さなはぐれ雲がひとつ佇んでいました。2月9日木曜日時刻は午後5時35分、パソコンのメールをふたつほどチェックしてまた空を見やると、はぐれ雲がありません。闇に隠れたのか、本当にどこかにはぐれてしまったのか知る由もありませんが、闇が迫ると遠くに見えるビル群の屋上の赤色灯がキラキラと点滅しているのが目立ちます。アッという間に、また寒~い夜がやってきました。家内が愛犬の散歩から帰ってきたようです。「ガラガラー」といつもの大げさな、うがいの声が下から聞こえましたから。「お帰りなさーい」と言いながら階段を降りると、家内が愛犬に玄関のマットの上で食事をさせていました。「何にしますかね、私たちの夕食は」。幸せな問いかけです。「宮川のうなぎを食べにいきましょう。今夜は熱燗でね」。
今ではこの送電線に福島原発からの電気は流れてきません。でも、水力か、風力か、火力かは見えないけれど、電気は確実に今も流れています。文明に慣れた人間社会に無くてはならない電力。この偉大なエネルギーに私達の生活は守られていることをもっと知るべきです。そして、これからは何が大事かということも。
あの忌まわしい原発事故からもうすぐ1年になる。
今ではこの送電線に福島原発からの電気は流れてきません。でも、水力か、風力か、火力かは見えないけれど、電気は確実に今も流れています。文明に慣れた人間社会に無くてはならない電力。この偉大なエネルギーに私達の生活は守られていることをもっと知るべきです。そして、これからは何が大事かということも。
あの忌まわしい原発事故からもうすぐ1年になる。