あたたかい総会
「会長! もっと仕事をとって来てください」。日本製粉の澤田浩会長は、ある工場で従業員の現場代表からこう言われて目を見開いた。「忙しくないと工場は駄目なんです」。常日頃に言っている事が現場の従業員まで届いている事と、会社のトップに直接言ってくれる事が澤田会長はうれしかった。「この工場には、まだ余力があるんです。生産にあたる工場は、目いっぱい動かなければ駄目なんです」と、現場代表の従業員は、つばを飛ばして澤田会長の目を直視する。帰社の車中で思った。「現場の人間が、トップが来て、このような事を言うのは他では考えられない事だ」。会社にとっても私にとっても非常に嬉しい事だと目を細めた。
2012年6月28日の定時株主総会にて日本製粉㈱小寺春樹代表取締役社長が誕生した。澤田浩氏は代表取締役会長として小寺新社長をバックアップする。この日、総会後の懇親会にて澤田会長は一人の中年女性から声をかけられた。「会長さん、私はいつも総会に出席していますが、こんなにあたたかい総会は初めてでしたわ」。澤田会長に手を差しのべる女性に、おもわず両手で握り返して微笑んだが、〝あたたかい総会〟の意味がわからない。夫人が続ける。「でもねえ、スーパーに行くと、ヨソさまの品物の方が多いのよねえ」。そうか、一株主でもトップに気軽に意見が言える社風、これが〝あたたかい〟という意味なのかもしれないと会長は感じたに違いない。
小寺新社長は、社長就任後の挨拶で「次の事業への新しい展開が課題だ」と、キッパリ言い切った。この一株主の提言も含めて、澤田会長は小寺新社長の手腕に期待を寄せる。創業117年目となる次年度は相当なプレッシャーのかかる中、まずは製粉・中食・M&Aなどの国内事業で実績を重ね、事業拡大のためのブランド力を高める事に全力投球で取り組む事だろう。
2012年6月28日の定時株主総会にて日本製粉㈱小寺春樹代表取締役社長が誕生した。澤田浩氏は代表取締役会長として小寺新社長をバックアップする。この日、総会後の懇親会にて澤田会長は一人の中年女性から声をかけられた。「会長さん、私はいつも総会に出席していますが、こんなにあたたかい総会は初めてでしたわ」。澤田会長に手を差しのべる女性に、おもわず両手で握り返して微笑んだが、〝あたたかい総会〟の意味がわからない。夫人が続ける。「でもねえ、スーパーに行くと、ヨソさまの品物の方が多いのよねえ」。そうか、一株主でもトップに気軽に意見が言える社風、これが〝あたたかい〟という意味なのかもしれないと会長は感じたに違いない。
小寺新社長は、社長就任後の挨拶で「次の事業への新しい展開が課題だ」と、キッパリ言い切った。この一株主の提言も含めて、澤田会長は小寺新社長の手腕に期待を寄せる。創業117年目となる次年度は相当なプレッシャーのかかる中、まずは製粉・中食・M&Aなどの国内事業で実績を重ね、事業拡大のためのブランド力を高める事に全力投球で取り組む事だろう。