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コラム 三寒四温

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切磋琢磨

 東京メトロの方南町駅は丸ノ内線の分岐線で終着駅です。環七から方南通りを新宿方面に向かうと、すぐ右手に駅へ降りる2番出入口がありますが、その手前に3畳弱の細長い店構えの立ち喰いそば屋があるのをつい、この間見つけました。方南通りに面した看板には「地下鉄そば」と店名が書かれていますが、地下鉄のすぐ〝そば〟にあるのが由来かどうかはわかりません。
 狭い。とにかく狭い店内には4人分の立食カウンターがあり、目の前の厨房ではひたすら天ぷらを揚げ続けている背中しか見えないご主人と、注文をとり蕎麦を湯がいて丼を手渡してくれる可愛い若い女性の2人が狭い店内を阿吽の呼吸で切り盛りしています。それは素晴らしい動線となって蕎麦を待つ客を飽きさせません。この店は天ぷらの種類が半端じゃありません。海老、ゴボウ、人参、玉ねぎ、かき揚げ、ちくわ、イカ…しかもその一つひとつが、どでかいのです。さらに一つ80円と安いから方南通りに面した表にせり出した小さなカウンターには天ぷらの盛り合わせがプラスチックケースにはちきれんばかりに納まり輪ゴムで止めて販売していて次々と売れて行きます。そう、「地下鉄そば」は天ぷらも売っている珍しい立ち喰いそば屋なんです。「この値段は惣菜店の半値以下だわさー」と、おばちゃんがガマグチから小銭をかき出して「ありがと」と店の女性の手に握った代金を渡します。買ってありがと、売ってありがと。杉並にも下町の気概がまだまだあります。ゴボウ、インゲンとレンコンを蕎麦で注文、家内はさつま芋と人参の天ぷら蕎麦です。私は汁を一滴も残さずに完食したのは言うまでもありません。
 最近の立ち喰いそば屋は、互いに競り合って切磋琢磨される修練の技は、競合店同士で味を高みにまで引き上げて勝負をしています。ですから最近ではハズレの店が少なくなった気がしますが、牛丼店やハンバーガー店に押されて店舗が減少しているのはさみしい限りです。
 とある昼さがり、空腹を満たそうと近所にそば屋が見つからなかったこともあり、うかつにもある牛丼屋のノボリにひかれてカレー丼をオーダーしたところ、こともあろうに牛丼の上にカレー丼の具がかかっていました。ハァー、早合点した私もわたしですが、牛丼は牛丼で、カレー丼はカレー丼で食べたいですよねー。明日はそんな不埒なノボリには脇目もふらず、期待に胸をふくらませて立ち喰いそば屋の暖簾をくぐる私です。  「蕎麦でネギ多目ね!」「ハイヨー!」

弊社社長 菅田耕司のコラム


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