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コラム 三寒四温

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想い出の味 ~エスコフィエ・前編~

「エスコフィエ」と言えば、食通の方を始め、フランス料理に関わる人なら誰しもがご存知のフランス料理界の伝説の料理人です。私と「エスコフィエ」との出会いは……いえいえ、決して巨匠を呼び捨てにしている訳ではなく、ましてや生きていた時代が違いますから、出会っている訳がありません。「エスコフィエ」は料理の名前なんです。私がまだ学生時代の一九六〇年代後半、石原裕次郎さんのヒット曲「二人の世界」がカーラジオから頻繁に流れていた頃です。赤坂の一つ木通り、TBS本社玄関口の真ん前に、あのピンクと白のストライプで有名な「アマンド」がありました。総ガラス張りの一つ木通りを見渡せるカウンターで、友人とよくハンバーグ・ライスを食べるのが楽しみでした。

 私は当時から、なぜか馴染みのレストランではどこでも食べる料理が決まっていました。六本木の「ハンバーガー・イン」ではポテトチップスとハンバーガー、「キャンティー」ではバジリコのスパゲティ、原宿のピザ専門店「ミッシェル」、私は「ニコラス」より「ミッシェル」派でしたね。もちろんオーダーはマルゲリータ。そして、アマンドではハンバーグ・ライスです。いま想い出すと、私の母もレストランによって食べ物が決められていました。中央線高円寺駅南口の洋菓子カフェ「トリアノン」では、スパゲティ・ナポリタン。新宿の京王デパートの食堂ではカキフライ、小田急デパートの食堂ではあんかけかた焼きそば、そして伊勢丹ではカレーうどん。何より一番好きだったのが高円寺「さぬきや」の鍋焼きうどん。今では超有名店になってしまいましたが、カウンターだけの古いお店を夫婦で切り盛りしているところへ、当時小学生だった今のマスターがランドセルを背負って帰ってきていた光景が懐かしいですね。母の食に対する遺伝子は、私にもしっかりと受け継がれているようです。

 たまに小遣いに余裕がある時は、赤坂のアマンドで“浮気”をしたものです。螺旋階段を階下に降りると甘くメロディアスなピアノの旋律が耳に入ります。気持ち良さそうにピアノを弾いているのは横森昭三さん。あの天才落語家、林家三平師匠の後ろでアコーディオンを笑顔ひとつ見せずに、話術にあわせて巧みに弾いていた、あの人です。ここでのオーダーが、そう「エスコフィエ」なんです。ピラフの上に薄切りのステーキが4~5切れのっている料理。それがとても好きでした。思い出せばたまらなく、あの時の味を記憶の中から探してみるのですが、再現することができません。 どなたかご存知でしたら、教えてください。エスコフィエを出す店か、せめてレシピを。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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