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コラム 三寒四温

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ラナイ島

 カタマラン(双胴船)に乗船して10分ほど沖合に出ると「2時方向を見ろ!」とマストにつかまったロコが大声で陽に焼けた腕を伸ばして指差します。20人ほどの乗客が一斉に目を向けたその時、高々と〝潮〟を吹き上げた巨大鯨の雄姿が、一頭、二頭……「あっ、三頭いるぞ!」。家族かもしれません。悠々とその巨体をくねらせ、持ち上げた大きな尾で海面を叩きしぶきが高々と上がります。「まるでラッセンの絵そのものだね」。ホエールウォッチングのカタマラン船はその鯨に近づく事なく留まっていると、一頭の鯨が近寄ってきました。そしてナ・ン・ト、船べりを一周してくれるではありませんか! 船べりの眼下に見える巨体に歓声と共にカメラのシャッター音が鳴り続けて、もう船上はお祭り騒ぎです。

 ハワイのラナイ島へは20年振りの再訪となりましたが以前と変わっていたのはホテルの名義くらい。あとは当時のまんまです。山側にある〝シティ〟にはフォーシーズンズホテルのロッジと公園をはさんで一〇〇メートルほどの小さな商店街がありますが、小さなスーパーが2軒と2時で閉店してしまうカフェ、そして夕方まで唯一オープンしているテイクアウトのレストランが1軒、土産物店が2店とおもちゃの街の中のような小さな可愛い銀行と郵便局と教会があります。これが街のすべてです。

 私達は海に面した、フォーシーズンズ・マウナベイ・リゾートに孫娘と3人でチェックインしました。2日目の朝、ベランダに遊びに来た鳥達にパンくずをやりながら沖合を見つめていた家内が慌てた様子で孫娘と私を呼びます。

「見て見て、あそこ、あそこよ!」

と、指差した先の白波が立っているあたりに噴水のように時折上がる潮ふぶき。「あれは鯨だね!」孫娘も少し興奮して身を乗り出して見つめています。

「そうだ、明日はホエールウォッチングに行こう!」
「行こう! 行こう!」

 何もないラナイ島には、なぜかセレブな人達が世間の喧騒から逃れるように世界から集まってくるそうです。「何もしないで、のんびり過ごす。それが一番の贅沢だ」と、どなたか有名な人が言っていましたね。でもねえ、小学6年生の孫娘と買い物好きな家内、そしてせわしい私にしてみれば、ラナイでの4連泊の計画はあまりにも無謀過ぎた感が最初はありました。けれども日増しに暇をもてあそぶ事に慣れてたから不思議です。

「朝にはイルカが湾内まで来るそうよ」
「それは楽しみだね」
「早起きしましょ」  (つづく)

弊社社長 菅田耕司のコラム


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