塩レモン
秋深し となりは何をする人ぞ
と言う訳で10月22日、秋の味覚がひととおり出尽くした頃合いで、さらにおいしいものを探しにアフリカ大陸は中東のモロッコ王国へくり出してきました。
カサブランカ。
いい響きですね。
モロッコというと、私は若かりし頃よりハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンが共演したモノクロームの名画「カサブランカ」とカルーセル麻紀を思い浮かべるのです。まっ、カルーセルさんは置いといて、ハンフリー・ボガート演じるリック・ブレイン。格好良かったですねー。そうなんです、真っ先に訪ねたのは「リックス・バー」です。つば広の帽子に煙草をくわえたボガートを気取ってカウンターでまずは一杯……。
あれれ、カウンターもテーブルもカメラを手にした女子、女子、女子! 壁に設えたスクリーンでは、まさに映画「カサブランカ」が無声で映し出されています。少々興ざめですが、観光の目玉ですから仕方ありません。ビールのあとにバーボンをグイっと呷って、バーグマンの頬をなぜた夜風に当るとしますか。と、決めたいのですが実は劇中で登場した「リックス・バー」はカサブランカに実在しないんですよ。つまり、このバーはセットのコピーなんです。全てのシーンはハリウッドのセットで撮影され、主演のご両人をはじめスタッフの誰一人モロッコに足を踏み入れてないんだとか。それを知るとなんだか昔のハリウッド映画の“すごさ”を感じますね。
さて次はおいしいもの、という訳でタジン鍋の専門店で
「チキン塩レモン」をいただきました。
この料理に使われるレモンは生のレモンを塩漬けにした“塩レモン”といって、今では日本でもボチボチ広まりつつあるようです。ブラウン色のオリーブの実と搾りたての“ヌーボー”といってもいいくらい、まるでオリーブジュースのような鮮やかなグリーンのオリーブオイルをたっぷりと、そして蒸気を上手く使い、ゆっくりと温度が上がるタジン鍋で作り出されるスープがチキンを覆い、肉の中まで味をジュワーっとしみ込ませています。これは来ますね。来年の秋は「塩レモンチキンのタジン鍋」日本流行間違いなし! カサブランカビールに合う! モロッコワインにも合う!
……って、何か変ですよね。
戒律の厳しいイスラム教徒が98%超えのモロッコでアルコール? でも大丈夫、ツーリストには寛大なようです。
明日は世界遺産に選定された迷宮都市〝フェズ〟の旧市街地メディナを訪ねて2泊3日の小旅行に出発します。
(つづく)