初盆
永六輔さんがお亡くなりになりました。
この数年の間、永さんの事を思い出した事はありませんでしたから、TVのニュースを見て「エッ、本当なの!?」と驚かされました。
永さんの数ある作詞の中で、私が最も好きなのは
見上げてごらん夜の星を 小さな星の小さな光が
ささやかな幸せを歌ってる
見上げてごらん夜の星を ボクらのような名もない星が
ささやかな幸せを願ってる
手をつなごうボクと おいかけよう夢を
二人なら苦しくなんかないさ
なんて素晴らしい歌詞でしょう。
小さな幸せを願う「見上げてごらん夜の星を」。この歌をその日は日がな一日、何度も口ずさむほどに私の記憶の奥底でずっと深く、永ぁーく大切にしまい込まれていたのです。
永さんは、その星たちに囲まれて坂本九さんや中村八大さんたちと一緒に空の上で肩を組んで楽しく歌っているのかもしれませんね。そして小さな幸せを願っているたくさんの人たちに「小さな幸せ」を運んでくれている事でしょう。
永さんのラジオ番組は車の運転中に楽しんでいました。「小沢昭一の小沢昭一的こころ」も好きな番組でした。この二人は歯に衣着せぬ話しぶりでしたから、痛快そのものでした。我々の世代は月光仮面や丹下左膳のような痛快なスターに“憧れ”がありましたから尚更です。
少し舌足らずな永さんがラジオ番組中、福岡博多の「かろのうろん」という名のうどん店を紹介した時のことです。
「あれ? “カド” や “ウドン”が “かろ”や“うろん”って聞こえるのかな? “角のうどん” でしょ?」
と思い込んでいたら、その話も忘れた4~5年後に中洲の入口そばにある「かろのうろん」を偶然にも通りかかって看板を発見した時には一人大笑いしてしまいました。
今年は愛犬リュリュの初盆です。夕方帰宅すると玄関先で家内が茄子と割り箸で作った馬と、リュリュの好物だったジャーキーを備えて迎え火をしていました。天上の父も母も愛犬たちもこの日を楽しみにしているのでしょうか。迎え火が立ち上る夜空を見やれば、その思いが“小さな幸せ”となって心をふるわせてくれます。
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