平和を創る
脂の乗った『金華サバ』を酢でサッとしめてからガスバーナーで皮目がプリっと浮き上がるまで炙り、少し焦げ目が付けば上出来です。それから押し寿司の型に鮨飯を固く詰めて炙ったサバを乗せれば、焼きサバの押し寿司の完成です。これがまた、旨いのなんの! 南三陸沖で夏場にかけて穫れる金華サバは塩焼きでも味噌煮はもちろん、トルコ共和国の国民食・サバサンドイッチにしても、どれもこれも、おいしさはギャランティです。
今夜は我が家で楽しいBBQ、ご近所の友人家族をお招きして、肉が焼けるまでの腹ごなしに焼きサバの押し寿司と相成りました。夜遅くまで笑い声のたえない、久々のホームパーティーの夜でした。
翌日の7月14日はフランスの革命記念日で、“パリ祭”と称されるレセプションが今年も世界各地で開催されました。私たち夫婦も駐日大使にご招待されて出掛けたのですが、会場である広尾の大使公邸に設営されたセキュリティーテントでは厳重なチェック体制が敷かれており、参加者も簡単には入れずに長蛇の列を作っていました。ゲリラ豪雨に見舞われたのも束の間、レセプションはとても楽しいひとときでした。
しかし、レセプションから帰宅してTVのニュースでフランスのニースで多数の犠牲者が出た悲惨なテロ事件が発生したことを知り、先ほどの厳重なセキュリティチェックの重要性を身をもって深く考えさせられました。パーティー招待客をとびきりの笑顔で迎え、おもてなしするダナ駐日フランス大使ご夫妻のご心中をお察しすると共に、罪なき人々を巻き込む卑劣なテロ行為に怒りが収まりません。 世界にはびこる極悪のテロ行為が一日でも早く撲滅する事、そして自由と平等、民主主義の平和な世界が築き上げられる事をただ祈るのみです。
狂気の先には破滅が待ち受けています。
世界のさまざまな宗教がもつ本来の教義から隔絶して、洗脳されて疑問を抱き、自身のおかれた社会のありように反発する若者はフランス革命の日に起きたテロリストとなって狂気の事件を引き起こしました。そこにはフランスを変えたモンテスキューやルソーらの啓蒙思想からは程遠い狂気の世界が見え隠れします。
貧富にかかわらず、家族揃っての食事を笑顔のある食卓で楽しむ。そこには“平和”が存在します。平和を創る食シーンを、我々はもっと考えなくてはいけませんね。
パリ祭でパンブースをドネイションされたメゾンカイザー、ビゴの店、ヴァンドゥ リュド各社の工夫を凝らしたパン食シーンはレセプションを大いに盛り上げていました。この日のパンには“幸せ”というエキスがたくさん詰まっていましたね。“幸せ”がいっぱい詰まったパンをありがとう。
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