ネギ味噌
夏の味覚、きゅうりは「世界一栄養のない野菜」としてギネスブックに認定されるほど、ダイエットに向いている食材です。みずみずしさと歯切れのよさを楽しめる、暑い盛りほど食べたくなる食材ですね。私は特にミニきゅうりが好物なんです。他にも人参やトマトなどもミニサイズはスライスする手間いらずでお気に入りです。何より丸かじりすると「野菜を食べてる!」という実感があって身体を元気にしてくれます。
キッチンでは家内が大きなプラスティック製の洗面器に“どんだけ~!?”というくらい大量のネギ味噌をつくっています。ミョウガ、大葉、やわらかネギ、ものすごく辛い青唐辛子、そして4種の味噌。隠し味の○○は私の母の伝承で、決して誰にも(私にも!)教えてくれません。
それらの食材をすべてみじん切りするのに、ゆうに90分はかかるようです。青唐辛子が出回って辛味が増す梅雨入りの頃が、我が家の年中行事のネギ味噌づくりのシーズンなのです。
「味見して」と家内がお椀に出来立てのネギ味噌を熱湯に溶かし渡してくれます。「フウフウ、ズズズ……うん、いい感じ。でも甘味と辛味がケンカしてるね。仲良くさせてよ」。ちょこちょこと何やら混ぜ合わせてから、今度は縦割りにしたミニきゅうりにのせて試食です。「ウンウン、いいよ! 仲良くなったね」。
もう頭の中ではプレゼント先が決まっているのか、洗面器から手際よく大・中・小のタッパーに詰められ、これから冷蔵庫で3日間熟成させます。
さて、熟成開始から4日目。朝の献立はネギ味噌の味噌汁、白飯のかっぱ巻はワサビの代わりにネギ味噌、仙台白謙の笹かまにネギ味噌。目玉焼きとミニトマト、そしてレタスを盛った皿の脇にも、ネギ味噌。谷中の新生姜には、もちろんネギ味噌。そして塩むすびならぬ、炊きたてご飯のネギ味噌むすび。あー、たまりませんね。
ちなみに昼は和辛子がわりにネギ味噌を溶いた冷やし中華。というよりも稲庭細うどんの冷やし中華風で、もちろんロースハム、玉子の薄切り、レタスの千切りとクラゲ、ミニトマト、ミニきゅうりの千切り、紅生姜。つゆは「あみ印の冷やし中華スープ」を2倍の濃縮でたっぷりかけます。あっ! これにザーサイがあったら最高ですね。稲庭や茶蕎麦をせいろで食すときは蕎麦猪口にネギ味噌を入れ、そばつゆを注ぎます。せいろを食べ終わった後の蕎麦湯が、これまたたまりません。
夜は五島列島の小さな生牡蠣、これ美味ですよ。そして「甘々娘」という名の通りあまーい焼きもろこし、それに蒸した新じゃがに4等分の切れ目を入れ、バターとネギ味噌を投入。蒸し暑い梅雨の日はネギ味噌三昧でハワイの焼酎「浪花」のロックと洒落てみるのも良いですね。
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