歴史に学ぶ
日本が外国人労働者受け入れに舵を切る今年、製パン業界では原田一臣代表理事(東山堂ベーカリー取締役)が尽力する東京パン連盟工業協同組合の動きが光る。2005年より導入した「外国人製パン技能実習制度」をもとに、いち早く外国人労働者の受け皿づくりを進めてきた功績は大きい。
木村屋總本店が今年、創業150年を迎えました。日本におけるパンの歴史はそれ以前にも存在したようですが、同社創業と時を同じくして誕生した、日本を代表する酒種製法による「桜アンパン」こそ、我が国の製パン事業の本格始動の狼煙といえるでしょう。
時は1868年、戊辰戦争の緒戦となった鳥羽伏見の戦いが勃発。言わずもがな、王政復古のクーデターにより明治政府が誕生しました。多くの日本人が“ちょんまげに帯刀”というスタイルから徐々に欧米の習慣を取り入れて混ざり合う、文化革新の時代の幕開けでもありました。
それから150年、日進月歩の発展により驚くほどに技術革新が成功して、今では「AI」が日常生活の中になくてはならない存在となっています。この光景を150年前の先人達は、形は違えど夢をもって願い思っていた事でしょう。
その過程の中で、ひとつの偶然がひとつの必然を生みました。ひとえに偶然とは“やりたい事”を叶える好機であり、必然は“為すべき事“のために奉ずる場とする。そんな思いや行動力が日本を動かし、今日の繁栄があることを思えば、原田代表理事にとっての“必然”に多くの賛同が集まり、オール日本として咲き誇れるものと信じています。
業界内はどこも戦いの連続です。そこから勝ち組になるために必要なのは、敗者を踏みにじって奪い合う姿勢ではなく、技術革新や販売ノウハウ、流通革命の中に存在する「スキマ」から偶然ひいては必然を見出すことが肝要ではないでしょうか。それが各企業ごとの「個性」となり利益につながるのです。
アンパン誕生から150年、食の文化遺産ともいうべき存在感で今なお愛され続けています。この歴史が製パン業界にとって、どれほどの勇気とやる気をもたらしてきたことでしょう。未来に向けて業界人みなで共感を分かち合えるような偶然、そして必然を、いかにして見出すのか?
新元号となる本年を区切りに、皆で少し考えてみませんか。
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