若者たち
昼前に総武線の大久保駅から電車に乗ると、杖をついてる私を見るや一人の若者がパッと席を立ち、「どうぞ」と席を譲ってくれました。「ありがとうございます」と礼を言い、「よっこらしょ」と腰を下ろすと、若者とその仲間3人の会話が私の眼の前で始まりました。
席を譲ってくれた若者が友人のTシャツを一瞥、背中にプリントされた3本の縦縞の下に英文で “Three Stripe ” とあるのを見るや、
「何これ!? “3人のストリップぅ?”」とはしゃぎます。
すかさずもう一人の友人が、
「バカかお前は! “スリーストライプ” だろ!」
3人で大笑いです。
「昼から下ネタかよ~!」
と、ストリップと誤読した若者も一緒になって再び大爆笑。どうやら沿線の大学生らしいのですが、何とも微笑ましい電車内の光景ではありませんか。実は私も下を向いて笑いをこらえていました。
3駅目の千駄ヶ谷で若者たちに「ありがとう」と改めて感謝を伝えて下車。会社へ向かう途中、前方から若い男をはさんで両脇に女性の3名、揃って黒のリクルートスタイルで横一列で歩いて来ます。男は短くなったタバコを吸うと、道端に火が付いたまま投げ捨てました。すれちがいざまに私は「タバコを捨ててはいけないよ」と咎めると、ふてくされた声で「すみません」と歩きながら一言。
「拾ってください」と背中越しに言うと、振り向きもせず「すみません」とだけ言い残して3人で駅方向に歩き去りました。少し離れてから女性が一人、こちらを振り向いて睨んできたのが意外でした!
電車内の若者たちと、このリクルートスタイルの若者たち。それぞれどのような環境のもとで育ったのでしょうか? いずれにせよ、すでに人格の出来上がった “大人” とみなされているのは間違いありません。見た目ではごまかせない人の本性とは幼くして身につくものであり、のちの努力で磨かれるものでもあります。
人それぞれの人生がありますが、18歳で選挙権を得た若者たちは、日本人として今回の参議院選挙にどのような意識と関心を持って投票所に足を運んだのでしょうか? いや、棄権したかもしれません。これもまた人それぞれですから。
法的には一律に“大人”であっても、成長・成熟には個人差があります。ゆくゆくは個性を生かして何か一つでも人の役に立つ事ができる…そんな若者に数多く出てきて欲しいなとつくづく思わされた一日でした。
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