礼を尽くし祈る
病気知らずの恵まれた生活をしてきた我が身ですが、齢68歳を境に次々と病魔が襲いかかってきました。そんな試練の日々に追い打ちをかけるような新型コロナウイルスによる緊急事態宣言。73歳の現在も病気の連鎖は止まらず、病気の再発だけでなく感染リスクも高めないよう細心の注意を払う生活習慣を心がけています。
体からの悲鳴は病気だけではありません。頚椎損傷による両腕両足の痺れと痛み、握力低下は深刻で、医者の「10%近い確率で首から下が麻痺するおそれあり」という所見を承知の上で、私は手術を選びました。しかし治癒には至らず、再手術はさらにリスクが高まるとのことで回避。以来緩和のためのリハビリを続けています。
その1年後に胃ガンが見つかり、頚椎手術に次いで人生2度目の全身麻酔を体験。しかし退院2日前に感染症が判明、間髪入れずに3度目の全身麻酔となりました。ICU搬送を含め約3ヵ月間に及ぶ入院治療とリハビリ生活を余儀なくされ、退院後も3週間おきのペースで免疫療法を半年あまり続けて回復できました。
しかし2年目の定期検診時、今度は食道ガンの宣告。この時は内視鏡による手術で全身麻酔は免れましたが、その後、腰と左脚に異変を感じ20メートルの歩行すら困難になったので検査を受けたところ、脊椎狭窄症の診断。即日入院で4回目となる全身麻酔での手術を受けるも、結果は失敗! 半年後に神経を圧迫している脊椎にボルト3本を埋め込んで矯正する手術でも全身麻酔で5回目。しかも胃ガンの時と同様、今回も退院寸前の感染症で6度目の全身麻酔、2ヵ月の延長入院。
5年間で6度の全身麻酔手術によって私は “生かされました”。経過はまずまずなのですが、リハビリがきついですね。しかも会員になっているジムで利用してきたウォーキングやバイクなどのマシン類やプール等の施設が、コロナ禍により利用人数の制限が設けられ完全予約制に。目的から外れたネット上の争奪戦は無視して潔く諦め、自宅周辺の散歩やマンションの階段での踏み台昇降運動などで体力と筋肉量の低下を防いでいます。
そんな健康第一の暮らしぶりでも、容赦なく次の痛みがやってきます。先週、急に頭痛がひどくなり急遽MRIを受けたのですが、頭内部の異常ではなく「頭外左耳周りの帯状疱疹」と診断されました。幸い薬が効いており、経過5日目となる本日はコラム執筆も順調です。
人生では思いもよらぬ出来事に何度となく直面します。病気を治すための薬も、逆読みすると「リスク」。新型コロナ用ワクチンにも副作用の可能性があるのでしょうが、そもそも人生そのものがリスクの連続なのではないか? と、ステイホームのリビングから雪化粧を施した富士山を眺めつつ思い耽るのであります。
複数の大病に次々と罹りながらも “生かされている” 自分の心境に向き合うと、「人生の終わりを漫然と待つのはご免だ!」という感情があふれてきます。老いに打ち克つ唯一の道は働き続ける事だと信じ、いま自分に何ができるか? という難題の答えを見つけたいと思います。生かされている幸せに礼を尽くし、祈りながら。
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