I have a job.
1年間におよぶコロナ禍で、食生活は様々な分野で進化を遂げています。ウーバーイーツをはじめとするデリバリーの多様化や、プチ贅沢を勧める日替わり情報がワイドショーを賑わせています。その価値は常にインスタ映えが優先される華やかなものですが、一方では “フードロス解消の一助に” というフレーズで訳あり食材を通販番組で紹介していたり。こういった地に足のついた地道な取り組みはなかなか秀逸で、予約制のドライブスルー方式で野菜や海産物を販売するアイデアなど唸らされます。ソーシャルディスタンスへの徹底した配慮が奏功し売上は好調らしいのですが、それでも売上は前年比に遠く及ばず、厳しい状況は一部の業態を除けば深刻です。
賛否両論のまま凍結状態のGo To政策ですが、私にとっては難解煩雑な申し込み手続きと利用制限がネックとなり一度も利用しませんでした。令和3年が明けて早々に発出された2度目の緊急事態宣言を受け、より効果的な政策を、とばかりにレストランや居酒屋、喫茶店など飲食店は一律で1日当たり6万円の補助金が支給されています。
しかしこの対応には国民の多くが首を傾げているのではないでしょうか。
私の知っている、カウンター5席ほどの小さなバーで出されるツマミは缶詰と乾き物のみ。普段の売上は2万円も届かなかったでしょう。それでも1日6万円、月収180万円! 店主にしてみれば棚からぼた餅、おとぎ話のような現実に思わず頬をつねったそうです。現在は平日18~20時のみという超短縮営業で羨ましい限りですが、大手にとっては家賃・人件費・諸経費もろもろで大打撃ですよね。
帝国データバンクの調査によると、昨年は飲食店の倒産件数が “コロナ倒産” が上積みされたことで、過去最高の780件に及んだそうです。こうした厳しい現実を政府与党は正しく認識しているのでしょうか? 国会答弁で「従事者や家族の皆さん、そして関連の取引先まで収入が逼迫し、預金も底をついている」と窮状を訴える野党に対し、菅総理大臣はあくまで自助第一の基本姿勢を変えず「最終的には生活保護もある」と答弁されました。女性差別をはじめ数々の失言が取りざたされ、ついに辞任に至ったオリパラ委員会・森会長の一件ではボランティアスタッフの辞退が続出。しかし二階幹事長は「(辞退者はごく一部で)瞬間的」とし、さらには「お辞めになりたいというのだったら、新たなボランティアを募集する」と素っ気ないコメントで呆気にとられました。
何はともあれ、国民の努力の結晶によるオリパラ開催、成功は全世界に日本人の心意気を示せる好機であり、日常を取り戻すためのファースト・ミッションでしょう。
“I have job” それが私たちの仕事ですから。
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