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コラム 三寒四温

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ジグソーパズル

思ったことをストレートに言葉にできる能力は、諸刃の剣ではないでしょうか。時には喜びや感動を与えてくれる一方で、傷つけたり悲しませることもあります。いずれにせよ、あらかじめ準備された原稿を読むだけならば、それは “語り部” に過ぎません。ふとした閃きや感情のおもむくままに発せられた言葉の力とは別物です。

ただし私の場合、口は災いのもとというタイプで、いまだに後悔する事があります。日常で交わされる他愛のない会話に相槌を打つ、笑って聞き流す。好き・嫌い・おいしい・まずい・うらやましい・かわいそう……。これらの感情を言語化する際には「理性」の働きが必要不可欠だと思うのです。つまり私の場合、とっさの一言に理性が伴わないのです。

つい先日も後悔の念にさいなまれた失態があり、それは家内と揃って受けた2回目のワクチン接種後の顛末です。2人とも3週間前に受けた1本目の際は、TV のワイドショーであれほど報じられていた副反応――腕の腫れや痛み、頭痛、倦怠感、発熱――といった症状が表れませんでした。しかし2回目の翌日、家内の左腕には赤い斑点が出て、その晩には37度1分の発熱が確認されました。慌てた家内は冷感シートを額に貼り、解熱剤を飲み、氷枕を用意してベッドに横たわりました。私はというと、接種部分が少々痛み、腕全体の重さを感じつつも気にせずにいました。一応検温すると「36度9分」。家内と2分の差ですが、私には “熱が出た” という実感がありません。家内は時折ベッドから出て、額にシートを貼ったまま冷凍庫の新しい氷枕と取り替えに行き来します。

そんな姿を見て、何を思ったか「ずいぶん大袈裟だね」と口をついてしまいました。

ジグソーパズルのようにTPOに相応しいピース(一言)が出ないもどかしさ。余計な言葉はすらすら出るのに、なぜか「大丈夫?」という気遣いのピースが出てきません。

翌朝、家内から「6度2分です」と告げられ、続いて「どうせ私は大げさだから」の一言。行ってきまーす、と普段より小さめの声とともに会社に向かいました。

私に欠けているのは「理性のカケラ(ピース)」なのでしょう。コロナ禍が巻き起こす家庭内のギクシャクは相当なストレスですから、なおのことお互いを思いやる理性が必要と分かってはいるのですが。

本日のリハビリ散歩は、少々難易度が高いジグソーパズルを買いにいくとしましょう。ピースを発見する共同作業で、喜びを分かち合えるかもしれないと期待を込めて。

凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹

弊社社長 菅田耕司のコラム


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