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コラム 三寒四温

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マイペンライ

「子どもの毎日は “はじめて” で溢れている」。

以前読んだ本の一節が、霧雨にけむる新宿のビル群を自宅のリビングからボーッと眺めている時、ふと頭をよぎりました。

私はこの12月で74歳になります。今日まで天真爛漫、自由気儘に生きてきたからでしょうか、子どもの頃と変わらぬ “はじめて” が毎日必ずあります。

子どもが見るもの聞くもの、触れるもの全てがはじめての連続で、楽しみはしゃぎながら日々成長する姿は愛らしいものです。しかし私は大人ですからはしゃぐことも、何で? どうして? と問うこともなく、今どきはネット検索でそれなりの答えが得られる便利な時代です。感情を抑えるというより冷静に対処して一人納得しているのです。それも物事を忘れるからなのかもしれません。忘却と発見を繰り返しながら、いわゆる子ども返りをしている、ということでしょうか。

聖書では、神様が天と地を創った後にエデンの園にアダムとエバを創造しました。二人の生活は穏やかな「普通」や「当たり前」だけで、感動や驚き、発見などの意識は無かったでしょう。決して食べてはならないと神様から言われた禁断のリンゴを食べるまでは。二人は神様との約束を破り “罪” を犯したのです。以来、神様は戒めとして労働や産みの苦しみを与え楽園から追放し、その顛末はキリスト教の創世記として全世界に布教しました。

赤ちゃんは無垢の状態で誕生します。そして毎日はじめてを体験しながら成長し大人になり、やがて老いて天に召されます。その過程で大小の罪を犯しながら反省を繰り返し、人生を全うしているのでしょう。一切の罪を犯さない人生は可能でしょうか? 私の人生は罪の積み重ねでした。でしゃばる、
虚勢を張る、知ったかぶりをする……罪まみれの人生でした。ですから私はその罪ゆえに聖書を読み、毎日少しずつでも他の書物を読むことも大切にしてきました。読書を通じて新たな価値観を獲得することで、“生まれ直し” を試み続けられると思ったからです。

いつしか、試みる事、試み続ける事が、すなわち「贖罪」なのだと理解しました。何を試み、続けるのか自分自身に問い詰めると少し行き詰りますが、そんな時はタイ語で「マイペンライ(細かい事は気にしないよ)」と頭の隅で呟きつつ、新しい本のページをめくります。

今日の一冊は、湊かなえさんの「落日」。帯に記された、「 “真実” とは、“救い” とは、そして “表現する” ということは。絶望の深淵を見た人々の祈りと再生の物語」。という一節に違わぬ内容です。難解ですが、罪を乗り越えて獲得する新たな可能性、生まれ直しを試み続けられるということを理解してみたいものです。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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