ダブル天体ショー
立冬がTVニュースで報じられても、体感的にはまだ秋のままです。
酷暑を極めた今夏から秋の移ろいは間髪なくストーンと感じさせてくれました。食欲、読書、芸術と、まさに人間の欲望と五感を楽しませてくれる、四季の中で一番好きな季節です。
しかし、私は今年の秋を見失っていたようです。入院と手術を繰り返し外出もままならず、運動不足で少々太ってしまいました。かといって秋の味覚を満喫していた訳でもなく、サンマや松茸はじめおいしいものはそこそこに、外食も数える程度。そんな調子で立冬と言われても、というのが本音です。
“おあずけ” のまま待ちほうけていたら冬になっていた、という気分なのです。
心を豊かにしてくれるクラシックコンサートに美術館、博物館巡りもできませんでした。Go ToトラベルやGo Toイートを活用したくても夫婦そろってネット音痴ゆえ申請方法が分からずに断念、日帰り旅行もままならずステイホームを続けていました。
手術した左手のギプスが経過観察次第ではあと5日ほどで外せるようなので、神宮を散策して、キハチの予約が取れたらライトアップされている銀杏並木を眺めながら至福のディナーを楽しみたいと願っていますが、どうなる事やら。
皆既月食と天王星食のダブル天体ショーがあった夜、永福町で新たにオープンした友人の鮨屋で軽くつまんだ後、タクシーで帰宅。自宅マンション前の道路ではスマホやデジカメ、双眼鏡を天に向ける集団の姿。私も一緒にしばらく眺め、赤黒くすべて欠けた月を確認して部屋に入りました。
TVをつけると小さな粒状の天王星が月に吸い込まれるように隠れる映像が流れています。442年ぶりという宇宙の営みに感動しました。“ダブル” の再来はまだまだ先ですが、次回の月食は3年後とのこと。何度でも観たいものです。
翌日、いつものように家内は私の朝食と昼食を用意して出社。独りの私はお決まりのニュース番組を消して久しぶりに自動演奏ピアノのスイッチを入れました。モーツァルトの魔笛を譜面どおり早く正確なパッセージで打鍵する様を眺めるうちに、リズミカルな楽曲に心が晴れ渡ります。小さいながらも豊かな秋を体感しました。
冬の厳しさは日に日に増していきます。13日からは大相撲九州場所が始まりました。力士たちの闘いに熱烈応援を送り、冬に備えようではありませんか。
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