サステナビリティ
バーカウンターの内棚を整理していたら、懐かしいキャビネサイズの写真が数枚出てきました。その中の1枚にケニア共和国で当時環境大臣を務めた環境保護活動家のワンガリ・マータイさんの姿がありました。
MOTTAINAI=“もったいない” という言葉を世界に広め、植林活動などサステナブル啓蒙が認められ、のちにノーベル平和賞を受賞した方といえば皆さんご存じかと思います。来日時に目黒区にある駐日ケニア大使公邸にて2ショットを撮ってもらいました。ディナーをご一緒し、通訳を介していろいろお話した記憶が次々と蘇ります。残念ながらその3年後に亡くなられたことは悲しくとてもショックでしたが、彼女の意思は現在も脈々と受け継がれ、植林活動は世界中で行われています。
70年代のケニアではガス・水道・電力などのインフラ整備が停滞し、燃料確保を森林伐採に依存していました。改善に向け、マータイさんが植林活動に立ち上がった訳です。彼女の意思は世界で賛同の輪を広げました。日本企業ではイオン環境財団が中国、東南アジアでの植樹活動を行っています。こうした活動は地球温暖化対策を包括的に取り組む流れへと発展し、彼女の死から4年後、2015年には国連サミットが開かれ、「2030年までに達成すべき持続可能な開発のための17の目標・169のターゲット」が定められました。“もったいない” を合言葉に飢餓や貧困、差別をなくそうと活動したマータイさんはまさにSDGSという概念の礎といえる存在でしょう。
3年超に及ぶコロナ禍、ロシアのウクライナ侵略等で穀物や燃料が世界中で高騰し世界的な物価高が続いています。さらに直近では鳥インフルエンザにより鶏卵価格が高騰し、生産量調整の名目で乳牛の早期リタイアや生乳廃棄のニュースが続きます。マータイさんも天国からこの現状を憂いていることでしょう。
一人ひとりの行動は小さいかもしれませんが、「もったいない」の精神を見失わないよう心がけたいものです。
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