タラコの思い出
毎朝、聞き慣れた音で目覚めます。
それは妻がリビングのフローリングに “コロコロ” を転がして埃を取る音。24時間稼働の空気清浄機をもってしても埃掃除の仕上げには欠かせないようです。これが聞こえてきたら私はベッドから起き上がってリビングへ行き、「おはよう」と妻へあいさつして一日が始まります。
リビングのガラステーブルには、私が一日に服用する薬3回分がオブラートにくるまれてセット済みです。そして、会社に来るヤクルトレディに薦められた腸内環境に効果的という「ヤクルト400W」さらに大塚製薬の「GFO」、こちらも腸内環境改善のための粉末サプリ。すでにお湯に溶いてコップに入っています。胃を全摘した私を気遣うセットを飲み干したら、野菜ジュースと淹れたてのブルーマウンテンナンバーワンがテーブルに置かれます。つくづくありがたいルーティンに感謝です。
そんな毎朝の日課を経て、朝食がスタート。4枚切りの食パンをトーストして大ぶりに切ったバターをのせ、インスタントのポタージュスープに半熟の目玉焼き。ご飯を炊いた朝は納豆に漬物、しじみたっぷりの味噌汁。自宅マンション前の「まいばすけっと」で買えるお気に入りの玉子サンドも週1回のペースでリピートしています。
たまにはちょっと贅沢しようと、今朝はうな丼と肝吸いでした。頂きものの食材が冷凍庫にストックしてあると便利で助かりますね。
そして冷蔵庫に必ず常備しているのが、大好物のタラコ。タラコといえば、以前住んでいた杉並のマンション時代の自由な “ご近所さん” 付き合いを思い出します。玄関の鍵はいつも開けたまま、そこへ下階に住む若者が「ただいまー」と入ってきて冷蔵庫から缶ビールを取り出し、「アレおねがい」とツマミをリクエスト。私たち夫婦はなぜか息子のように接していました。そのアレが、タラコ焼きでした。
若者の名前は、多胡邦夫君。「HOME」でおなじみの歌手、木山裕策さんを見いだした名プロデューサーです。
木山さんの紅白初出場が決まった際には、お祝いということで多胡君に腕時計をプレゼントしました。紅白の舞台上、木山さんのバックでギターを弾く彼の手首にはジラール・ペルゴが控えめに光っていました(漫画「島耕作」の主人公が社長就任を機に自ら購入したというエピソードが有名ですね)。歌詞の「ありがとう」がひときわ心に響いたものです。
今ではすっかりご無沙汰の間柄ですが、タラコ焼きの味とともに懐かしい思い出もよぎります。
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