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コラム 三寒四温

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気魄一閃

“キハクイッセン” と読む、その意味は「どんなことがあっても、力強く立ち向かう」です。大相撲名古屋場所で自身初の優勝を飾った豊昇龍関が、大関昇進を伝える大相撲協会の使者に口上でこの四文字を決意の表れとして披露しました。豊昇龍関らしく力強い口上でありました。

名古屋場所の十五日間、東京のTV桟敷ではありますが、私達夫婦はいつにもまして大関昇進がかかる豊昇龍関の取組を応援し続け、ハラハラドキドキの毎日でした。どんな事があっても力強く立ち向かう、口上そのままの “気魄” は立ち会いの一挙一動からすでに伝わってきました。そして千秋楽の本割を十二勝三敗で迎えた優勝決定戦も、鍛え抜かれた心技体を十分に発揮して北勝富士関を制し、相撲史に残る大一番で大関昇進を飾りました。

なお幕内三枚目の兄弟子・明生関は七勝七敗で勝ち越しのかかる一番でしたが、元関脇の実力で同じく五分五分で迎えた金峰山関を下し見事勝ち越しを決めました。

さっそく立浪親方に昇進のお祝いを電話で伝えると、「昇進の口上があるので来られますか?」とお誘いを受けましたが、東京での祝賀会参加を約束して名古屋行きは断念しました。

我が製パン業界でも豊昇龍関の快挙を喜ぶ関係者は大勢いらっしゃいます。5月10日に開催した弊社の「日本パン・菓子新聞」創刊75周年記念、および不肖私のフランス共和国農事功労章シュヴァリエ叙勲レセプションの席上でも、立浪親方ご夫妻と豊昇龍関、明生関、天空海関にご出席いただき、お開き後も出口にて参加者全員をお見送りいただきました事、感謝であります。

新大関・豊昇龍関にはてっぺん(横綱)を目指して九、十一月場所での活躍を楽しみにしています。皆様も熱い応援のほどよろしくお願い申し上げます。

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パリ祭

7月14日はフランス共和国のナショナルデー、通称パリ祭です。2023年のこの日、コロナ禍による自粛のため3年ぶりの開催となりました。

南麻布の駐日仏大使公邸には千人を超える政財界はじめ関係者がフィリップ・セトン駐日大使のお招きで集う中、私達夫婦もレセプションを楽しみました。

会場には日仏両国を “食” でつなげる多彩なジャンルのブースが並びます。まずベーカリーは、パリゴの安倍竜三シェフ、メゾンカイザーの木村周一郎シェフ、コム・ン東京の大澤秀一シェフが出展。それぞれ世界に誇るパンを参加者にふるまい、製パン企業からも敷島製パン系のレアールパスコベーカリーズのPAULがドネーションブースを出展し賑わいをみせていました。

シャンパンやワイン等をフランスから直輸入している各商社のブースでは、とりわけモエ・ヘネシーディアジオ社のヴーヴ・クリコが大人気でした。他には生ハムやチーズなども輸入販売店各社が数多く出展、なにせ千人超えの来場者を楽しませるのですから、館内をシャンパン片手にお目当てのブースへ辿り着くのも一苦労です。中止が続いた3年分の鬱憤を晴らすかのように皆さん笑顔で語り合っています。

フード関係では、すしざんまいもフランスからマグロを輸入している縁で出展しており、8名の寿司職人が参加者を待たせることなく手際よく握り続けます。職人たちを指揮する木村清社長のご長男の奥様が満面の笑みと流暢な語学力でブースに集う外国人を応対する姿が印象的でしたね。

フランス料理店の出色は、コロナ期間中ながら果敢にも人気店ひしめく表参道にオープンした、信太竜馬総料理長率いる「エラン」。昨年ミシュラン一つ星を獲得、今年は二つ星が噂される人気店だけあって注目を集めていました。フィリップ駐日大使も開店以来たびたび訪れており、私の周りでも続々と常連様が増えています。

信太シェフはレストランが入るビルの屋上で養蜂に取り組んでおり、収穫したハチミツを参加者の前で遠心分離機にかけてふるまっていました。私もバゲットにたっぷり塗っていただきましたが、とてもおいしい!

貴重な “表参道産” を堪能しました。

墓誌

私と家内と母はプロテスタントとして洗礼を受けた、池の上キリスト教会の教会員であります。

弊社創業者である父・菅田松司は享年七十二歳、平成5年9月15日に天に召されました。江戸時代初期から菅田家先祖代々の菩提寺は東京都品川区小山にある法華宗の長應寺です。

10日ほど前に長應寺の住職より、「お盆 せがき(施餓鬼)大法要のご案内」の手紙が届きました。これは先祖の精霊、新盆の精霊の追善供養で、自身の仏道修行のために参詣して下さいとの連絡なのですが、母はクリスチャンとして池の上キリスト教会が八王子の霊園に建立した、立派な墓所にて眠っています。その石碑には天に召された教会員の名が刻まれており、“菅田つる子 平成15年10月没” という教会員の証でもある碑文を前に、年2回の墓前礼拝を行っております。

父が亡くなった時、父はクリスチャンではなく、かといって熱心な仏門徒でもなく、会社の応接室には神棚が祀られていました。そして私もまた “ノンポリ” の無宗教人間として生活していました。ですから父の葬儀は先祖代々のご縁で法華宗長應寺の住職が通夜、告別式、そして社葬という段取りを組み、弊社関係者が取り仕切ってくれました。社葬の折、故・舟橋正輝フジパン前社長が直々に葬儀委員長をお務めくださり、盛大な葬儀が執り行われました事、改めて感謝申し上げる次第です。

父の死から10年後に母が天に召された際は、キリスト教式のお別れ会を行いました。池の上キリスト教会にて大勢の業界関係者にご参列いただき、素晴らしい会となり感動いたしました。

長應寺からせがき大法要の知らせが届いた日、私は家内と母の俗名と戒名を菅田家先祖代々の墓に刻もうと決意して、父のお盆参りを兼ねて夫婦で出向き、住職へその旨を伝えました。結果、クリスチャンの母を快く受け入れていただける事となり、後日供養することが決まりました。遺骨はそのまま教会の墓所に祀る形での供養ですが、なんだか心が晴れ渡り清々しい気分になれました。

長應寺の菅田家の墓は8基あり、それぞれに20を超える俗名と戒名、没年月日が刻まれています。私達夫婦もいずれ両方のお墓に名前が刻まれることでしょう。

味覚の変化

最近、食生活の微妙な変化に気付かされます。

これまで月に一度は楽しみに食していたトンカツの名店。あんなにおいしかったご飯が水っぽく感じたり、衣の固さが気になります。おかわり自由のキャベツの千切りも残す始末で、いつしか “あのトンカツが食べたい” という欲求自体が消え去りました。

自宅近くで食べたカツカレーも香辛料の配合が口に合わないと感じるのは年齢のせいなのか。この8年間で10回の全身麻酔での手術を経て、味覚に異変が生じているようです。毎日でも通いたい! と思っていた馴染みの店でも味覚の違和感は拭えず、特に濃い味付けや香辛料が効き過ぎていると拒否反応を起こします。おのずとさっぱりした味付けに食指が動き、最近ではそうめんや細うどん、二八そばなどを冷や汁でいただくお一人様自宅ランチが毎日続いています。野菜は生でそのまま、ドレッシングやマヨネーズも出番なし。缶入りの野菜ジュースとヤクルトの新製品の腸内サプリを朝晩に1本ずつ飲むようになりました。これが体に合うようで、ガンで胃を全摘出している私が手放せなかった下剤も不要になり、この習慣のおかげで快適に過ごせるようになりました。

手指の麻痺を改善する手術の経過は芳しくなく、医師の奨めでリハビリを1年ほど続けていますが、気休め程度です。何より生きがいだった料理への情熱が冷めてしまったのが至極残念。

そんな調子で、食べるのもつくるのも違和感だらけという生活の中でも、私好みにアレンジして見事に楽しませてくれる、行きつけのとあるレストランがあります。月に1、2度通うこの店の存在が、落ち込んだ気力を回復させてくれるのです。そしてまた新たに感動を呼び起こしてくれる味に出会いました。

先週、エコノミストの友人に誘われて家内と訪れた、神宮前3丁目にある51/2=チンクエメッツォという一見客お断りの創作イタリアン。文字通りの隠れた名店で、おもてなしも料理もすべてがパーフェクトなレストランでした。素材の魅力を最大限に引き出す魂を込めた料理はどれも美しく、目で舌で楽しませてくれる葉狩オーナーシェフの手腕は、我が75年の生涯においてもトップ5に入ります。店名に冠した、5 1/2=(ごはん)のセンスもお見事。

もちろんNOBUやエラン、紅葉川といった別次元の名店の味は飽きることがありません。というより、「菅田さん、今日はどんな料理を召し上がりたいですか?」という気遣いから料理の味は決まるのです。

真夏日が続く日々、体調管理は食事から、が肝要であります。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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